桐朋学園芸術短期大学音楽専攻同窓会「桐の音」


昨年、初の試みとして一般(卒業生)を対象に『海外音楽研修2010』(ロシア旅行社主催、
日本ハンガリー友好協会後援)を実施しました。

リスト音楽院での実技研修を軸に、ハンガリー・スロヴァキア・ウクライナを巡る音楽の旅でした。
音楽研鑽の継続、或いは積極的に音楽活動を展開している卒業生の皆さんにとって海外経験を深める絶好の機会となったことは言うまでもありません。

音楽専攻が1999年より学校行事としてスタートさせた「海外研修旅行」は、そもそも洋楽のみの組織として、欧米の著名な音楽大学で本場の空気に触れながら実技レッスンに取り組む、謂わば『短期留学』の位置づけが根底にあります。

この海外研修に初めて日本音楽学生が参加した2004年度以降、そうしたプログラムの性格に
新たな内容が加わりました。

日本音楽学生は2004年・2007年(ハンガリー)および2006年(ポーランド)に参加があり、斬新な取り組み(日本音楽および和洋のコラボレーションの演目を加えた演奏会や現地との交流プログラム等)が実現。

とりわけハンガリーとの交流は意義深いものがあります。

ハンガリー(マジャール)人は元々アジア系の民族であり、いわゆる「西洋音楽」とは異なるマジャールの伝統音楽をも今日に至るまで脈々と受け継いでいます。
2001年度以来、音楽専攻の海外研修先として交流を深めてきた国立リスト音楽院は2007-2008年度より「民俗音楽学科」を新設。

四年目を迎えた昨年、民俗音楽学科はブダペストから離れた風光明媚なバラトン湖畔の小村・ロバシュにて新入生合宿を行い、我々研修グループもそこに合流させて頂くことになりました。

双方よりレクチュア、演奏披露、楽器紹介そしてワークショップを行い、相互に両国における洋楽と伝統音楽の「二重構造」(両国に共通する宿命)の認識を深める格好のプログラム構成です。

加えてハンガリアン・ダンスのワークショップやフリータイムは大いに盛り上がりました。

これまで何となく演奏していた「ハンガリー舞曲」の本質に触れることで、参加者一同、強烈なインパクトを与えられたことと思います。

ハンガリーを離れ、コシツェ(スロヴァキア)に立ち寄り、陸路ウクライナに入国。古都リヴィウでは、由緒あるオペラ劇場にてウクライナ・コサック(これぞコサックの原点!)を題材にしたローカルなオペラを鑑賞。
首都キエフにおいては、ウクライナ日本センター(UAJC)の協力の下、キエフ音楽大学民俗音楽科との交流イベントやキエフ工科大学との交流演奏会が行われました。

現地の熱心な聴衆を大勢迎え、バンドゥーラ(撥弦楽器)等、ウクライナの伝統的な民俗音楽と日本音楽の交流(交換)演奏が繰り広げられました。

プログラムの最後にウクライナ側と合同演奏した『さくら』は感動ものでした。

「海外研修」や「国際交流」の場に日本音楽が加わることは、ただ一方的に本場(欧米)の文化を受容するだけに止まらず、真の意味で “Give and Take”、換言すると、対等な意味での国際文化交流が成立することを意味します。

日本音楽が海外で感動を与える現実を目の当たりにした洋楽の参加者たちからの「誇らしく感じた」というコメントにも象徴されるように、その瞬間を共有できた喜びは何物にも代えがたい貴重な体験となっています。

「マンガ」「アニメ」に端を発する欧米における日本語・日本文化熱の高まりには目を見張るものがありますが、こうした風潮の中で、日本の伝統音楽への海外から注がれる熱い眼差しも今後益々熱くなっていくだろうと思われます。

『海外音楽研修2010』につきましては、参加者のみならず、多くの卒業生から寄せられました問い合わせ等、企画への関心の高さに心より感謝しております。

なお、『海外音楽研修2011』(8月30日出発、9月8日帰国)はロシア旅行社主催、エストニア音楽大学後援により、タリン(エストニア音楽大学)およびバルト諸国にて実施する予定です。

詳細は、ロシア旅行社(添田恵美子 ☎ 03-3238-9101)または私宛 moriscita@nifty.com

(☎ 080-5652-5558) お問い合わせください。

森 下 俊 一